黒愛−2nd love−
 


寝る前に久美が入れてくれた、
ミルクティーを一口飲む。


すっかり冷めてしまったミルクティーは、舌にまとわりついて甘すぎた。



「甘っ……」と独り言を呟くと、


寝ている久美が、クスクス笑いながら寝言を喋り出した。



「愛美……かっこいい……」



久美の夢の中で、一体私はどんな正義のヒロインになっているのだろうか……



クスリと笑った後は、また細根省吾について考える。



昼間見た彼の様子を思い出していた。



手を洗い過ぎる彼。


久美が少しぶつかっただけで、
怯えた顔して意味不明なことを口走っていた。



度が過ぎる潔癖症に、
被害妄想。



会社の倒産で周囲が一変し、
きっと心が壊れてしまったのだろう。




< 97 / 311 >

この作品をシェア

pagetop