黒愛−2nd love−
寝る前に久美が入れてくれた、
ミルクティーを一口飲む。
すっかり冷めてしまったミルクティーは、舌にまとわりついて甘すぎた。
「甘っ……」と独り言を呟くと、
寝ている久美が、クスクス笑いながら寝言を喋り出した。
「愛美……かっこいい……」
久美の夢の中で、一体私はどんな正義のヒロインになっているのだろうか……
クスリと笑った後は、また細根省吾について考える。
昼間見た彼の様子を思い出していた。
手を洗い過ぎる彼。
久美が少しぶつかっただけで、
怯えた顔して意味不明なことを口走っていた。
度が過ぎる潔癖症に、
被害妄想。
会社の倒産で周囲が一変し、
きっと心が壊れてしまったのだろう。