運命の人
その日の帰り道、何を作ろうか悩みながら帰る。
学校から家まで歩いて20分。
途中後ろからおいと低い声がする。
振り向くと後ろに翔ちゃん(宮沢)がいる。
「なにぼーっと歩いてんだよ。ぶつかんぞ」
ほんといつも思う。
かっこよくなったなぁって。
「うるさいなぁ。泣き虫翔ちゃん」
うちがそう言うと翔ちゃんはほっぺたを掴んでくる。
「わりぃ聞こえなかったわ」
「めんひゃい」
まったく偉くなっちゃって。
うちが相手しなかっただけで泣いてたくせに。
「…今年受験だけどどこいくの」
むすっとした顔で翔ちゃんが聞いてくる。
「近所の公立校に行くよ。翔ちゃんは?」
翔ちゃんが少し笑う。
「き、奇遇だな。俺もそこだ。ったく真似すんなよなぁ」
なんかムカつく。
「なによなによ真似なんかしてないもん!」
「照れんなよ」
そう言って翔ちゃんは笑った。
少し赤い。
「てかついてこないでよ!」
「は!?俺も家こっちなんだけど」
そうだった、こいつ近所だ。
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