運命の人

不思議

バスの中、しばらく嫌な空気だったがそこはバスガイドさんの見せ所、嫌な空気が嘘のように晴れ晴れさせてくれた。
しかし加宮さん爆睡。
「酸素が〜追いかけてる〜」
とか意味わからないこと言っている。
宮沢も寝てしまったようだ。
「菓子食べるか?」
綾野がじゃがりこの蓋を開けながら言う。
…開けたら食べるしかないじゃないですか。
「じゃあ、お一つ頂こうかなっ」
わたしの好きなチーズあじ。
シンプル イズ ザ ベスト!
「他にもあるぞ」
綾野がカバンをごそごそと漁る。
「じゃあわたしもなにかお返しを…」
足元からカバンをとって中からお菓子を取り出す。
チョコがあった。
溶けちゃう前に食べないと。
「チョコがあったけど」
「チョコがあるけど」
同時だった。
この前の加宮さんと宮沢みたい。
わたしたちは面白くてお互いの顔を見て笑う。
幸せだな。なんか。
チョコは交換でわたしは綾野のを、綾野はわたしのを食べた。
その後宮沢も寝言で「酸素が…くる…なぁ…」と加宮さんと似たようなことを言っていた。
ビックリしたのではっきり覚えている。
なに同じ夢みてるんだろう。
後で聞くことにして、わたしたちはたくさんお話をした。
数日経てば忘れるような、他愛のない話。
それでも楽しかった。
気づけば目的地についていた。
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