運命の人

恋って？

「うん、松葉杖は必要ないかね。由梨香さん自身はどう？まだあったほうがいい？」
もう走れないと宣告したお医者さん。
鼻の横の大きなほくろが特徴的。
そのお医者さんの言葉にわたしは迷いはない。
「もう大丈夫です、松葉杖はやめます」
ふんふんと言ってお医者さんはカルテに書き込む。
足の状態はよくなって、松葉杖なしでも歩ける。ぎこちないけど。
着替えもできるようになったし。
松葉杖なんていらない。
必要ない。

「おぉ！松葉杖卒業したのか！」
第一発見したのは実樹だった。
嬉しそうに走ってくる。
「もう全然大丈夫！」
「無理はしないでね？由梨香はすぐ無理をする」
わたしは実樹の言葉に苦笑い。
実樹と少しお話したあと職員室に行って林先生に怪我の状態を報告してクラスへと向かう。
捕まるものがないとバランスってとりずらいんだなぁ、なんて思いながらゆっくり歩く。
ここで弱音はいたらずっと歩けなくなりそうで、それが怖かった。
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