運命の人
トップバッターとアンカーは一周、他のランナーは半周というルール。
早くもバトンパスした。
長谷川くんの活躍によりわたしのクラスは先頭をキープしている。
そして中盤、加宮さんの出番だ。
加宮さんの前に走っているのはテニス部の田中さん。いつもふたつ結びをしていて可愛らしい顔をしている。
田中さんが加宮さんへバトンを託して、がんばれ!と彼女の背中を押した。
それで転びそうになるけど転ばずに走り出せた。
クラスみんなが加宮さんを応援している。
一人に抜かされた。
まだ大丈夫!そのまま!
あ、もう一人に抜かされた。
あとすこしで宮沢に渡せる。
「加宮!!」
宮沢が加宮さんに手を伸ばす。
そして加宮さんがバトンを渡すと同時に宮沢トップスピード。早いのなんの。
みんなが応援を忘れるくらい、あっという間に次の人に渡った。
一人抜いてもう一人。
そこでアンカーへはいる。
わたしのクラスのアンカーは、綾野。
ほぼ同着でアンカーにバトンが渡った。
相手クラスは陸生。
2人とも早い。同時に走っている。
みんな声が枯れるほど叫んでいる。
そんななかわたしは応援するのを忘れてただ綾野の走る姿を見ていた。
コースに差し切るとき、ふと目が合った。
わたしの胸が苦しくなる。
「綾野…!頑張れー!」
歓声が大きくなる。
ほぼ同時のゴール。
勝ったのは…?
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