初めての恋はあなたと。番外編
11.もしもの話と
和也side
年明けのある日曜日。
久しぶりに彼女と街中のショッピングモールにデートに出掛けていた。
本来の目的は映画鑑賞。
彼女の好きな作家の映画化されたものを見に来ていた。
そのままお昼ご飯、そしてぶらぶらとショッピングモールを歩き回っていた。
「可愛いー」
そう彼女が子供のように目をキラキラとさせたのは、様々な材料で作られた人形が並べてある雑貨屋の中だった。
「これとかすごいですねっ」
俺の服の裾をくいくいと引っ張りながら言う彼女に、俺は「そうだな」とありふれた返事しか出来ない。
いや、だって。
無意識だろうか分からないが、裾をくいくいと引っ張る彼女が悪い。
何故そんなにいちいち可愛い?
心臓がいくつあっても足りる気がしない。
「おかあさんこれー」
彼女の言動に苦悩していると、俺と彼女のすぐ近くで3、4歳の女の子が彼女の見ていた人形を背伸びをしながら指差していた。
その姿がなんとも微笑ましく、そして可愛らしい。
そう思ったのは俺だけではないらしく。
「ふふっ、可愛いですね」
彼女が横で控えめに笑った。
「そうだな」
「和也さん、子供は好きですか?」
「ああ。微笑ましくて、見てると癒される」
そう答えると彼女は「和也さんらしい」と言って柔らかく微笑む。