初めての恋はあなたと。番外編
「あ、あの和也さん⁉︎」
自分のマンションに着くころには、あたりは少し薄暗くなっていた。
明日は月曜日。
つまり仕事のわけで、彼女に泊まっていくようには無理に言えない。(過去、翌日も仕事のくせに無理矢理彼女を泊めたことはあるが)
だから、マンションに着いて玄関のドアを閉めた途端彼女を抱きしめたことは許してほしい。
「和也さん…?」
黙って抱きしめていたものだから、腕の中で彼女が不安そうな声を出した。
二人きりになりたいと言ったものの、あとは無言でここまで連れてきて玄関のドアを閉めるなり抱きしめたら、誰でも怪しがるし不安に思うだろう。
今までの自分の行動を反省しつつ、彼女を抱きしめる腕の力は緩めなかった。
とういうか、緩めることが出来なかった。
しかしそのあとすぐに彼女を離し、部屋の中に進んでもらうことになる。
一月の、暖房もついていない場所に長時間いたら風邪をひいてしまうからと気付いたからだ。
彼女に温かい飲み物を出して、自分用にコーヒーを作り彼女の向かい側に座った。
彼女は飲み物が熱いせいか、ふーふーと冷ましている。
本当にいちいちすることが可愛すぎる。
気をつけないとニヤニヤしてしまうぐらい彼女に溺れている。