初めての恋はあなたと。番外編
そんな、依存している彼女との将来を考えたことは少なくない。

自宅の玄関を開けて「おかえりなさい」と微笑んでくれる彼女を見た時。
キッチンに立って洗い物をする彼女を見た時。

もし結婚したら、こんな生活が送れるのかと何度想像したことか。

末期にも程があるだろうと思うが、彼女の様々な表情・言動に触れる度想像してしまう。

これまで何人かと付き合ってはきたが、将来のことなど考えることはなかった。
ただ、その時限りだろうとどこかで冷めた感情を持っていた。

若かったから、というのがあるかもしれない。

そうだとしてあの頃に彼女と出会って今のような関係になっていても、彼女との将来を考えたことだろう。
確かな理由は分からないが、考えないなんてことはあり得ないと言い切れる。

…まあ、それは俺個人の勝手な考えであるんだが。

彼女は俺より8歳も下で、まだ結婚なんて先の話と考えているかもしれない。
もしかしたらこの先、彼女に似合う人が現れるかもしれない。

…それでも将来は、俺の横で笑っていてほしいと思う。


「千夏」

「は、はい」


大分時間が経ってから彼女のことを呼ぶと、彼女の目にはうっすら涙のようなものが見えた。
あれからずっと黙ったままだったから、俺が怒っていてその原因が自分にあるかもしれないと考えてしまっていたのだろうか。
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