初めての恋はあなたと。番外編
12.彼女なりのお見舞い
原side
一月も半分を過ぎた頃。
体調を崩す者が目立つような気がするが。
どうやら俺も例外ではないらしく。
「…やっぱりそうかー」
朝起きてやけに吐き気がするし頭痛もするし、これはおかしいと思ったけど。
熱を測ると、38度を超えていた。
社会人になって、初めて38度を超えたかもしれない。
今までは37度と微熱だけで、無理のない範囲で仕事をこなしてきた。
しかし今回ばかりは仕事をこなせる自信はない。
おそらく周りに迷惑をかけるだけだろう。
1日休みをもらい、さっさと治してしまうしかない。
そう決めた俺は会社に連絡することにした。
電話に出たのは江崎課長だった。
体調不良で1日休みをもらうということを伝えると、仕事のことは心配いらないからしっかり休めと言われた。
加えて「病院には行けよ」と、しっかり釘を刺されてしまった。
今まで寝ていれば治るだろうで乗り越えてきた俺は、今回もそうしようとしていたのだ。
しかし江崎課長に言われたのなら、そんなことを言っている場合ではない。
「先に行っておくか…」
もう一度ベッドの中に戻ると、次に起きられる自信はない。
コートを着て必要なものを持った俺は、もそもそとした動きで玄関に向かった。