初めての恋はあなたと。番外編
「それより!潤一本当に風邪なの?風邪ってそんな普通に話せるの?」

「風邪ですねって言われたけど…由依のおかげで治ったのかな」

「もう一回熱測った方がいいかしら?潤一、体温計ある?」


ちょっと、華麗にスル―しないでくれ。
結構真剣に言ったつもりなのに。

そう言おうとしたが、「病人は黙ってなさい」と言われそうな気がして開きかけた口を閉じた。


「何か食べた?」

「いや、何も」

「もう…キッチン借りるわよ」


さっきまで顔を赤らめて焦っていた由依はどこへやら。
すっかりいつもの調子だ。

そんな由依のことはもちろん好きだが、さっきのようないちいち可愛い反応をしてくれる由依も好きだ。

風邪が治ったら、何てからかおうか?

俺のために何かを作ってくれているだろう由依を待ちながら、風邪のくせに心地良い気分で考えていた。
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