初めての恋はあなたと。番外編
13.初対面
「さむっ…」
会社から出て巻いていたマフラーを巻き直した。
ここから駅まで、この寒さの中を歩くだなんて考えただけでもつらい。
和也さんも変わらず残業で会えないし…自分に残業がなくても気分は上がらない。
とにかく早く帰ろう。
そう心に決め歩き出した時、目の前に綺麗な女性が立っているのが見えた。
わぁ…綺麗な人だな。
モデルさんみたい…。
雑誌やテレビに出てくるような、綺麗な女性はまるで誰かを待っているような感じで、会社のすぐ近くで立っていた。
道ゆく人がその女性の方を振り返っていた。
私には縁遠いなぁ…。
そう心の中で苦笑しながら、その女性の前を通り過ぎようとした時、グイッと腕を掴まれた。
もちろんその女性に、だ。
「もしかして千夏ちゃん?」
え、何で私の名前をご存知なんですか?
この人とは初対面だよね⁉
突然のことに頭が真っ白になり、こくこくと声なしでしか返事が出来ない。
そんな私に気づいた女性は、
「あ、ごめんなさいね!千夏ちゃんに会えてついテンションが上がっちゃったわ」
と綺麗な笑顔を見せてくれた。