初めての恋はあなたと。番外編
和也さんはもぞもぞと動いて、私の顔を覗き込んだ。
そして優しい声で「千夏」と呼んだ。


「迷惑なはずがないだろう?最近こうやって一緒にゆっくり出来なかったから、今凄く幸せだ」


…本当にこの人は何なんだろう。
何故こんなにも真っ直ぐで優しいんだろう?

嬉しくて泣きそうになるのを必死で耐えた。


「わ、私も凄く幸せです…和也さんと一緒に過ごせて」


幸せ過ぎて逆に怖いくらいだ。
こんな幸せでいいのかと思ってしまう。

でも、そんな不安を取り除いてくれるのはやっぱり和也さんだ。


「全く…君には敵わないな」

「へ?そんなことないと思いますよ」


ギューと抱きしめてくる和也さんに、手を動かして抱きしめ返した。

和也さんの背中は大きくて温かくて凄く安心する。
このまま寝てしまいそう…。

って!寝たらダメだ‼︎

聞かなければいけないことが何点かある。

まずは、


「あの、服は…」


起きたときから違和感しかなかった。
明らかに私が着ていた服ではない。
しかもどこかサイズが大きいような気がした。

まさか、とは思うけど…。


「ああ、そのまま寝たらシワになると思って着替えさせた」

「ありがとうございます…」


…ですよね!
あの和也さんがそのまま放っておくわけがない。

(以前同じようなことがあったが、あの時は正式に付き合っていたわけでなく、和也さんもシワになるけれど着替えさすのは悪いと思ったらしい)
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