初めての恋はあなたと。番外編
「百面相の練習か?」

「え、江崎課長起きてたんですか!?って違います、百面相の練習じゃないです!あ、えっとおはようございます!」

「おはよう。とにかく落ち着いたらどうだ?」


急に近くで江崎課長の声が聞こえたものだから焦った。
しかもその焦り具合と言えば…本当に穴があったら入りたい。

恥ずかしくて江崎課長から目を逸らしたかった。
が、叶わず。

江崎課長に抱きしめられていて、身動きがとれないからだ。
仕方なく目を瞑った。


「あ、あのー…」

「ん?」

「何をしているんですか?」

「頭を撫でているだけだ」


そうさらりと言ったのは、私の頭を撫で私の髪を梳く江崎課長。
優しく、まるで割れ物を扱うような感じで。

どう対応したらいいの?
というか、目開けても大丈夫…ではないよね。
少しでも視線を上げれば江崎課長の顔あるしもちろん目も合うだろうし。
逃げ場もないし…。

そう思いながら目を瞑り続けることに決めた私の頭を、江崎課長は撫でる手を止めてしまった。
代わりにギュウッと抱きしめてくる。

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