初めての恋はあなたと。番外編
その日の夜。
一人でもやもやしているところに、和也さんから電話がかかってきた。
落ち着け私…!
動揺したら絶対に和也さんに心配される。
夕方の話を必死で頭から追い出す。
「もしもし?どうかしたんですか?」
『千夏の声が聞きたかったから』
「…え?」
初っ端からフリーズしてしまった。
いや、今何ておっしゃいました?
私の声が聞きたかったからですって…⁉︎
『千夏?』
「あ、はい、大丈夫です」
頑張って何もないようにしているけど。
実は心の中は大荒れ模様である。
頭の中で和也さんの言葉がリピートされて、もうおかしくなりそうだ。
何とか落ち着こうとした時。
ふとある雑誌が目に入った。
それは今私を最も困らせている内容にほかならないもの。
必死で頭から追い出したはずなのに。
夕方の話が鮮明に思い出される。
『千夏?』
「…あ、はい?」
『何かあったのか?』
…ばれてしまった。
電話越しでも分かるぐらいボーッとしていたから、仕方ないかもしれないが。