初めての恋はあなたと。番外編

その日の夜。
一人でもやもやしているところに、和也さんから電話がかかってきた。

落ち着け私…!

動揺したら絶対に和也さんに心配される。
夕方の話を必死で頭から追い出す。


「もしもし?どうかしたんですか?」

『千夏の声が聞きたかったから』

「…え?」


初っ端からフリーズしてしまった。

いや、今何ておっしゃいました?
私の声が聞きたかったからですって…⁉︎


『千夏?』

「あ、はい、大丈夫です」


頑張って何もないようにしているけど。

実は心の中は大荒れ模様である。
頭の中で和也さんの言葉がリピートされて、もうおかしくなりそうだ。


何とか落ち着こうとした時。
ふとある雑誌が目に入った。
それは今私を最も困らせている内容にほかならないもの。

必死で頭から追い出したはずなのに。

夕方の話が鮮明に思い出される。


『千夏?』

「…あ、はい?」

『何かあったのか?』


…ばれてしまった。

電話越しでも分かるぐらいボーッとしていたから、仕方ないかもしれないが。
< 36 / 123 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop