初めての恋はあなたと。番外編
『どこで見たか聞いたか知らないが、俺はそんなこと思ったこともない』

「そ、そうなんですか?」


まさかの、思ったこともない発言に私は返事に詰まるしかなかった。

予想と全く逆だったからだ。


『逆に俺は嬉しい』

「嬉しい…ですか?」

『あぁ。千夏の初めてが貰えるんだ。嬉しい以外に何がある?』


え、えっと…私の初めてが嬉しい…ということですか?

…そうなの?
重くないの?


『一つ聞いていいか?』

「は、はい何ですか?」


和也さんにしては珍しく不安そうな声に、思わず焦りながら答えることになってしまった。

しかし今はそんなことで、色々考えている場合ではない。

和也さんの聞きたいことに対して、ちゃんと答えなければ…!


『…貰う前提だったがいいか?』


…そんなのいいに決まってる。
和也さんだからいいんだ。


「もちろんです!」

『それは良かった』


安心したような和也さんの声が聞こえた。きっと電話の向こうで優しく微笑んでくれているだろう。
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