初めての恋はあなたと。番外編
「嫌がることはしないし、千夏のペースに合わせる努力はする」


和也さんの優しい言葉に嬉しくなりながらも、最後の「努力はする」という言葉に少し不安を感じた。

努力はする…って、あれ?
出来なかったらどうなるんですか?

言葉にしていなかったものの、顔に出ていたらしい。
和也さんが苦笑した。


「お預け期間が長かったからな。正直我慢できる自信がない」

「えっ」


思わず出てしまった言葉に、恥ずかしくて咄嗟に口元を手で隠した。

えって何よ、えって!

お預け期間を長くしたのは私だし、和也さんはそれでも努力するって言ってくれているのに‼︎

…我慢できるできないはよく分からないけど。


「千夏は思ったことが素直に声や顔に出るんだな」

「和也さん…それって褒めてるんですか?」


クスクス笑う和也さんに聞いてみると、


「当たり前だ。俺は千夏のそういったところが好きなんだから」


肯定の言葉に加えてサラリと告白をしてきた。

もちろん私の顔は真っ赤に染まる。
しかし和也さんはわざとか微笑んで、


「いい匂いがする。何か作ってくれたんだな」


と言いながら、私を通り越してリビングへ向かってしまった。

な、何なんだあの人は…。

恥ずかしいことを言ったと思ったら、次はスルーして行ってしまう。

よく分からないな…もしかして私が疎いから分からない?


「千夏ー?」

「は、はい!」
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