初めての恋はあなたと。番外編

和也side


寝室へ向かうと、考え込む彼女の姿が目に入った。
どうやら、自分が入ってきたことに気付いていないらしい。


「千夏?」


そう声をかけると彼女は、体を大きく揺らして驚き、バッと勢い良くこちらを見上げた。

頬をほんのりと染めた彼女が、無意識の上目遣いを見せる。

この時点で俺の理性は6割ほど崩れたことだろう。
この調子では、正直このあとがもつか心配である。

驚いたことを仕方ないと言いはる彼女を愛しく思いながら、彼女の横に座った。

ギシッとベッドの沈む音がした。


彼女に抱いてほしいと言われた時は、生まれて初めて頭が真っ白になるという体験をした。

誰かに催促をされたかという考えが、一瞬頭をよぎったが彼女の、電話越しから伝わる空気はそうではなさそうだった。

確かにそういう話に持っていったのは、彼女以外の誰かだろうけどあの発言はそうとは思えない。

だから俺は舞い上がる気持ちを必死に抑えて、今日の約束をしたのだ。

30を過ぎだ男が舞い上がるなんて、とは思うが恥ずかしいくらい舞い上がっている。

今も横に座る彼女に触れたくて仕方ない。
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