初めての恋はあなたと。番外編
「え？お母さんとお父さん今日は外で食べるって言ってたよ…え⁉︎今から帰ってこいってそれは無理だって！…何でって…いや、そのー、ほらっ、ね？」


思わず吹きそうになった。
家族と思われる人物と電話する彼女の後ろで、一人笑いを堪える俺はさぞ滑稽だろう。

しかし、しどろもどろに何かを言おうとする彼女が悪い。

ただ単にその姿が面白いのと、必死過ぎて逆に可愛いからだ。

我ながら情けないほど、彼女に溺れてる。

何故こんなにも彼女に溺れるのだろうか…？

そう考えながら、必死に何かを伝えようとする彼女を見つめていた。


「だ、だから！今日はその…お泊まりなの…え？どっちが大事って…どっちというか、私にとっては和也さんが一番だし比べられないというか…」


…ああもう。
本当に何だこの子は。
可愛すぎだろう。

俺は思わず頭を抱えた。
しかし彼女はそんな俺なんて知らず、


「あはは…そうだねー…うん、じゃあね」


といつもの雰囲気で電話を切った。
そしてふぅと一息ついて、こちらを振り返り


「和也さん⁉︎いつからそこに？」


と大きく驚いたのだった。


「き、聞いてました…？」

「もちろんだ。千夏が可愛すぎてどうにかなりそうだった」


そう言うと彼女は頬を赤く染めて、ブツブツと何かを言った。

そんな一つ一つの動作に愛しさを覚える。
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