初めての恋はあなたと。番外編
誰か閉め忘れたんだろう。

そう解釈しドアを開けようとした時。


「あの先輩」


部屋の中から聞いたことのない男の声が聞こえた。
思わず開けようとした手をひっこめた。

…出直そうか?
そう思いUターンしようとした。

しかし出来なかった。


「ん?何?」


なぜなら大好きな声が聞こえたから。

彼女の所属する総務のフロアは3階だ。
6階の、しかも休憩コーナーにいるのはおかしい。


「先輩は付き合っている人とかいるんですか?」

「え?えぇ!?」


部屋の中から驚く彼女の声がする。
もちろん声に出して驚けるなら俺もそうしたかった。

いや、見ず知らずの男は何を言っている?
付き合っている人がいるかだって?

…ここにいるんだが。


「どうなんですか?」

「く、倉石君には関係ないでしょ?」

「関係ありますよ」


倉石と呼ばれた男は、そうはっきり言った。
ここからの展開は誰にでも分かる。

なんとか立ち止っていた俺だが、とうとう我慢できなくなった。
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