初めての恋はあなたと。番外編
…次は何なんだ。

彼女にかかってくる電話に(それも2回も)、俺にかかってきた意味不明な電話。

それらに加えて来客だ。
何故これだけタイミング良く邪魔をされるのか。

誰のせいでもないというのに、俺は正直苛立っていた。

しかし彼女の前だ。
その苛立ちを表に出すわけにいかない。

その気持ちがあったからこそ、


「悪い、少し待っていてくれるか?」

「はいっ」


自分ではいつも通りに声をかけられたと思う。

彼女を一人寝室に残し、玄関へ向かった。


「どなたですか」

『あ、和也ー』


…面倒な人が来てしまった。

このまま寝室に戻ろうかと真剣に考えたが、声をかけてしまったからには仕方ない。

鍵をあけると、オシャレなスーツを着こなした姉が立っていた。


「和也、お姉ちゃんどうしたらいいか分からない」

「…は?」


俺もどうしたらいいか分からない。

頭をフル回転させ聞こうとした瞬間。
姉によるマシンガントークが始まった。

内容は以前付き合っていた男について。理不尽な別れ方をされたのに、復縁を迫られているそう。

しかも相手が一般社員ではなく専務取締役という、俺たちには縁がないだろう人物。

話の中身のこともある。
俺はとりあえず姉を部屋の中に入れた。

入れてからも姉のマシンガントークは止まらず。

よく分からないまま、姉の口から「スッキリした」という言葉が出てくるのに数十分はかかった。
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