初めての恋はあなたと。番外編
7.独占欲の表れ
「あったまるなー…」
そう呟いたのはお昼時の社内食堂のいつもの指定席。
そして手に持っているのは先ほど手に入れたきつねそばのお椀。
とにかく温かくて体がぽかぽかとする。
この寒い時期にとてもありがたい。
「素直な感想ね」
目の前でカレーを食べる由依が笑いながら言った。
「だってあったまるんだよ?」
「分かってるわよ」
言っただけよと言いながら、由依は小鉢に入ったサラダを口に入れる。
あ、サラダか何か買えば良かったかな…。
今日はやけにお腹がすいているような気がするんだよね。
でも今から行ったとしても間に合わないだろうな…。
そんなことを考えながら、そばを食べていると「小西先輩」と声をかけられた。
振り向くとそこには財布を持った倉石君が立っていた。
総務の後輩で何だかんだ関わることも多く、男性にしてはよく話すと思う。
「お疲れ様」
「お疲れ様です。先輩何を食べてるんですか?」
「きつねそばだよ」
私はそう言いながら、お椀を持って見せた。
倉石君は「美味しそうですね」と微笑しながら言った。
その微笑にどんな意味があるのか分からない。
…本当そういうことに弱いからな私って。