初めての恋はあなたと。番外編
9.ハッピーバースデー
「…何がいいんだろう?」
そう呟いたのは家のリビング。
一人ぼっちのせいか、誰の返事もなく私の問いかけは虚しくリビングに響いた。
何を悩んでいるかというと、1週間後に迫った和也さんの誕生日プレゼントだ。
実はもう少し前から考えてはいたが、何の案も出ず今に至る。
いや、だってね?
男の人にプレゼントとか贈ったことないし。
もちろん大人の男性が喜ぶものなんて分かるはずないし。
頼みの綱である由依に聞いても、「それは自分で考えなさい」って言われたし。
うん…頑張って考えてるよ。
でもこれあげたらどう思うかって考えたら、マイナス方向にしかいかなくて。
その悪循環の中を彷徨っているのだ。
「やっぱり喜んで欲しいしなー…」
パラパラと雑誌をめくりながら、独り言を呟いているとピンポーンとチャイムの音がした。
小走りで玄関へ向かい、「誰ですか」と聞こうとした時。
「千夏ー」
と、まぁ平和そうな声が聞こえた。
この声はあの人以外ありえない。
「健兄ちゃん!」
ドアを開ければ、スーツ姿の従兄弟が立っていた。