初めての恋はあなたと。番外編

とりあえず家の中に入ってもらい、リビングへ案内してお茶を出した。

健兄ちゃんは美味しそうにお茶を飲んだ。


「急にどうしたの?」

「母さんのおつかい」


そう言われて渡されたのは、スーパーの袋。
中には、たくさんの野菜が入っていた。

野菜ばっかり…お母さんが頼んだのかな?


「本当は叔母さんに渡すべきなんだけど…叔母さんは?」

「お母さんは多分近所の人とお喋り中。というか、健兄ちゃんこれだけのためにわざわざここまで来たの?」

「いや、仕事のついで」


健兄ちゃんと伯母さんが住んでいるのは、ここから少し離れたところであまり気軽には来れない。

だから本当におつかいだけて来てもらったなら、申し訳ないと思うんだけど…仕事のついでならいいよね!


「ふーん…千夏も大人になったんだなー」

「どういうこと?」

「いや、あの小さかった千夏が男にあげるプレゼントを考えていると思うと」


そう健兄ちゃんはしみじみと言った。
しかし言われた私は全く理解が出来ていなかった。


「な、何で分かったの⁉」


和也さんのことなんて一言も言ってないのに!
いや、伯母さんが暴露しちゃってるかもしれないけど…何でプレゼントまで分かるの⁉︎


ついつい乗り出して聞いてみれば、健兄ちゃんはスッとあるものを指差した。


「それ。プレゼント特集ってでかでかと書いてあるし」
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