初めての恋はあなたと。番外編
だが、そんな願いも届かず。


「千夏?」


リビングに入ってきた和也さんの声に、


「は、はい…」


と返事をして、リビングに置いてある大きめのソファーから顔を出した。

見えたのはスーツにコートを着た、いつもの和也さん。

違うのは表情。
すごく不思議そうな表情を浮かべている。
まぁそれはそうだろう。
誰だってソファーから顔を出されたら、不思議そうな表情を浮かべるはずだ。



「何しているんだ?」

「い、いやこれには深いわけがありまして…」

「深いわけ云々は分からないが…そこから出てきてくれないか?早く抱きしめたい」


うっ…。
そんな恥ずかしいことをよくもサラリと…。

しかも優しく微笑みながら言うのやめてもらえませんか?
危うく出て行きそうになったではありませんか。


「も、もう少し待ってもらえませんか?」


出て行きそうな自分を必死に抑えてお願いするも、


「待てない」


と苦笑されてしまった。
このままでは和也さんがこちらに来てしまい、すぐにでもこの格好がバレてしまう。

ならば…自ら出て行ってこの格好を見せたほうがいいのかもしれない。

どうせ見られるなら…。
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