初めての恋はあなたと。番外編
「さっき千夏が呆れた声とか言ってたが…全く呆れていない。君の行動が無自覚で困っているだけだ」

「む、無自覚のつもりなんてないです!」

「それを無自覚というんだ」


何が無自覚なの?
前々から無自覚だの何だの言われてきたが、やっぱり分からない。

あぁやっぱり私は恋愛初心者だ。


「泣き止んだな」


そう優しい声で言われて、泣いたひどい顔を和也さんに見られているということに気付く。


「み、見ないで下さい!」


こんなひどい顔を見られたくないのに。


「ダメだ」


と、和也さんに一言言われると反論する気持ちなんて湧かなくて、結局和也さんが満足するまで私のひどい顔は見られることとなった。



「そういえば、そのナース服は誰のなんだ?」


そう聞かれたのは、夕食が終わってさぁ今からプレゼントを!というタイミングだった。

ナース服は恥ずかしいから着替えたいと言ったが即却下された。

出そうとしたプレゼントを戻して、和也さんの質問に答える。


「由依からです。由依の妹がナースらしくて…」

「有村さんに勧められたのか?」

「いや、由依じゃなくて…従兄弟がたまたま言い出したのを由依に言ったらすごく乗り気になっちゃって。何だか流れで着るみたいになっちゃったんですけど…」


言い出しっぺは健兄ちゃんだ。
火を付けたのは由依。

でも最終的に着たのは私だ。
流されただけじゃない。
ちゃんと気持ちがあったからこそ、着ようかなと思ったんだ。
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