初めての恋はあなたと。番外編
「か、和也さんが喜んでくれたらいいなって思ったから…着ようと思ったんです」


恥ずかしくて、紛らわすように笑いながら言えば


「ああもう…可愛すぎだろ」


と、和也さんは再び頭を抱えてしまった。

また私のせい…だよね?
私、無自覚のうちにまた何か言っちゃったのかな…。
本当のことを言っただけなんだけど。

一人であぁでもないこうでもないと考えていると、「千夏」と和也さんに呼ばれた。

視線を和也さんに向ければ、ジッと真剣そうな表情でこちらを見ている。


「あ、あの…?」

「この前言ってた責任、覚えているか?」

「責任…あ、はい覚えてますけど」


抱いて下さいとお願いしたのに私が寝てしまって、その次の日の朝和也さんに意地悪そうな顔で言われたことだ。

責任はとってもらうとか言われたけど、何をどうとればいいのか分からずとにかく頑張る宣言をしたのを覚えている。


「その責任をとってくれないか?」

「え、えっと…」

「本当は千夏のペースに合わせながら進みたかったが…もう限界だ」


和也さんの視線から逃げることは出来なかった。
もちろん聞くことも。

今の私はただ和也さんを見つめているだけ。


「…抱いてもいいか?」


…あーそういうことか。
そういう責任のとりかたをしろってことなのね。

へー…って、へーどころじゃないよ⁉
ま、まさか和也さんからお誘いがくるなんて!

いや、以前の失態を何とか取り戻したいとは思ってたし、何より今日は和也さんの誕生日だから心の準備をしていなかったわけではないけど!

それでも心臓はこれでもかってくらいうるさく鳴っている。
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