初めての恋はあなたと。番外編
ナース服で頭から離れ、食事の時に言おうとしたもののタイミングが掴めなかった。

だからこそ、そうなる前にちゃんと言っておきたかった。


「あの…和也さん?」


ジッと見つめてみれば和也さんは心底困った表情を見せた。

あ、あれ?
嬉しくなかった…?

不安になってきて、和也さんを見つめた。


「…罪だな」

「つ、罪?私何も悪いことはーー」


してません、と言いたかったのに。
その先は和也さんに唇を塞がれ言うことは出来なかった。


「ちょ…和也さん、シャワーをーー」

「悪い、無理だ」


そんな綺麗に微笑まれて文句を言える人がいるのだろうか…?

和也さんの甘い甘いキスの狭間で、そんなことを考えていた。



目を覚ますと、カーテンから朝日が差し込んでいた。

あぁ朝か…。

なんて、のんきに考えていたのも束の間。
昨夜のことを思い出してしまった。

わ、私…和也さんとそういうことをしちゃったんだ。
なんか実感湧かないし、恥ずかしすぎてあまり覚えてないな…。

でも和也さん…凄く優しかった。
それだけはちゃんと覚えている。

初めてで右往左往する私に、和也さんはゆっくり丁寧に教えてくれた。

やっぱり和也さんは大人だな…。

そうぼんやりと考えていたからだろうか。
隣で眠っていたはずの和也さんは、もうすでに起きていたということに気付かなかった。


「…そんなに見つめられると我慢出来なくなる」

「か、和也さん⁉︎起きてたんですか⁉︎」

「結構前にな…それより体は?痛くないか?」

「大丈夫、です」


本当は大丈夫なわけないけど。
何とも言えぬ痛さが残っているけど。

和也さんにいらぬ心配をしてもらいたくなくて、必死に笑顔を浮かべた。

そんな私の様子に気が付きながらも、和也さんは気付かないふりをして私を抱き寄せた。


「ありがとう」

「何がですか?」

「色々とだ」
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