初めての恋はあなたと。番外編
…色々って何のことですか?

そう聞きたかったけど聞けなかった。
「ぐー」と、静かな寝室に私のお腹の音が響いたからだ。

その音を聞いた和也さんは、体を揺らしながら声に出すのを我慢して笑った。


「笑わないで下さい!」

「悪い…」


謝ってるけど笑ってるじゃないですか!
そもそも謝る気ないでしょう!

頬を膨らませて怒る私に、和也さんは「悪い悪い」と言いながら優しく頭を撫でてくれる。

それだけで「いいですよ」と言ってしまいそうだ。


「何か作ろう。千夏はもう少しゆっくりしていたらいいから」


そう言いながら和也さんは素早く服を身に付け、寝室を出て行ってしまった。

和也さんが出て行ってしまってから、一人きりになり大事なことに気付く。

それは、


「…プレゼント忘れてた」


昨夜渡そうとして、和也さんに話しかけられたから隠してそのままだった。
その後は和也さんに寝室に連れられたから、渡す時がなかった。

…まぁ、何とかなるだろう。
あとでちゃんと身だしなみを整えて渡そう。

そう考えながら、和也さんの香りが微かに残る寝室で一人まどろんでいた。


が、しかし。
世の中そんな上手くいかないもので。


「千夏、これは君のか?」

「え?あ、それ!」


遅めの朝食を食べることになり、リビングへ向かった時だった。
和也さんが持っていたのは、渡そうとしたプレゼント。

紙袋だから普通に荷物かと思ったらしい。

違うんです和也さん!
それはあなたへのプレゼントなんです!
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