初めての恋はあなたと。番外編
妻である瑞希さんに出会ったのは今から25年前。
23の、まだ会社でも下っ端だった頃。
先輩に無理矢理飲みに連れてかれ、そこで瑞希さんに出会った。
(今考えれば、瑞希さんに会わすために連れて行かれたんだろうと思うが)
気付いたら惹かれていて、自分でも呆れるくらい惚れていて。
でも告白は成功するなどと思ってもいなかった。
彼女は同じ会社の商品開発部だった。
キャリアウーマンと言われるくらい仕事が出来て、しかもかなりの美人。
まさか…自分の彼女になって妻になるなんて。
「…正君美味しくないの?」
ハッとして前を見れば、心配そうな表情の瑞希さんがお皿を持ってこちらを見ていた。
何も言わず、動きもないのだからそう心配されるのも仕方がない。
「そんなことないよ。ちょっと昔を思い出しててね」
「急にどうしたのよ」
ふふっと、瑞希さんは笑った。
その笑った顔は、昔から変わらず綺麗で可愛かった。
「…瑞希さんも変わらないね」
「あら、それはどういう意味?」
クリスマスに合わせた、いつもより豪勢な手料理を食べながら言うと、瑞希さんは少し怒ったような表情を見せた。
その表情を気にしつつも、あえてスルーし瑞希さんを見つめる。