初めての恋はあなたと。番外編
「な、何?」

「いや…やっぱり可愛いなーって思って」

「っ⁉」


素直に気持ちを伝えれば、瑞希さんは顔を真っ赤に染めて口をパクパクさせる。

仕事を辞めてからも出来る大人の女性。
今ではパートとして100均に勤めているが、そこでもやはりキャリアウーマンは崩れていないらしく。

そんな、顔を真っ赤にして照れる表情をあまり見せないから何だか新鮮だ。

そのせいか、もっとその表情を見たいとも思う。


「瑞希さん、顔が真っ赤。酔ったの?」

「よ、酔ってないわよ!それにまだ飲んでないから!」


そう言いながら量の減っていないグラスを見せてきた。

そんなことしなくても、飲んでないことくらい知ってるし、そもそも冗談なのに。
そんな冗談に、必死に言い返してくる瑞希さんはどこが幼く見える。

本当にこの人は50をこえているのだろうか…?


「そ、そんなこと言ってないで早く食べてよ。冷めるから!」

「はいはい」

「はいは一回でいいの!」

「はい…」
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