Task Force-特別任務部隊-
ロンドンではタスクフォースがいつ攻め込んでくるか解らぬ状況で、市内は熱病にとりつかれたような恐怖と絶望に包まれていた。

ナチス党員は降伏すれば即決裁判で処刑されるのは確実であった為、狂信的な決意をもって一人でも多くのアメリカ軍将兵を道連れにする事を考えていた。

市街で戦闘が発生すると、ナチス親衛隊員達は自爆攻撃すら繰り出し、それが元で多くのアメリカ兵が死傷していた。

アメリカ軍の砲撃が市内に直接届く段階になると、世界統一政府軍の多くはロンドン市内の公園に建てられた高射砲塔をはじめ、軍が構築したコンクリート製の大型防空壕や、地下鉄の駅構内、下水道、個人宅の庭に掘った防空壕、個人宅の地下室など、身を潜められる所にはどこでも避難したが、動く事すらままならず水道も断水され衛生状況は悪かった。

そのうち送電が断たれた為、ラジオ放送すら聴く事が不可能になった。

戦争の終盤になっても、戦争狂の当主は相変わらず愛国の為に徹底抗戦を訴えるプロパガンダを放送していたが、多くの兵士にとっては既にどうでもよい事柄で、生き残る事だけを考えていた。

白旗を掲げる兵士はナチス親衛隊に狙撃され、何もしなければアメリカ兵に殺される状態であり、最早助かる道は降伏する以外になかった。

< 826 / 840 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop