ふりまわされれ


部屋をでて今度は向かいの部屋へ
夢ちゃんと二人というのに緊張もするが
探すのに集中していれば問題ないことに気がついた

「緑くーんどこー?」
「…呼んでもでてこねぇだろ…」
「!、そうだね!」
はっ、として言った
夢ちゃんはたまにどこか抜けている


向かいの部屋はキッチンで、いくら緑が小さいとはいえ
隠れられるようなスペースなんてなかった

「いないね……」
「いないな……」

部屋をでて一番奥の部屋へ
見たところ
物置のような場所だが夢ちゃんいわく
「なるべく入っちゃダメな場所!」らしいが

……入ってんだろうなぁ…

「色!暗いから気をつけてね!!」
「あ?あぁ……」
とりあえず手探りで電気のスイッチを探す

コンクリートの無機質な冷たさが手の体温を奪う


というかここ…………寒くね?
「ゆ、夢ちゃん……ここってまさか」
「?松杳の仕事場だよ??」

「入っていいのか?」
「……なるべく入っちゃダメな場所…」
「……本当に?」
「入っちゃダメな場所かも……」
……そらそうだ

松田松杳は、整形外科の医師であると共に
皮膚再生や細胞研究を行ってる研究者だ
その仕事場というとおそらく…………

「人工皮膚のサンプルのためのこの温度か……」

「あ!松杳そんなこと言ってた気がする!!」
「……」


スイッチを見つけ明かりをつける
今までの部屋より少し広めにできていた


ガラスでできた筒状のケースに透明な液体
その中には薄く白っぽい膜

「あ、夢ちゃんこれ完全に入っちゃダメな場所だ。」
「うぅ……でも緑くんいるとしたらもうこの部屋しか……」
「…そうだな…、さっさと探してでよう」

棚の裏や模型と模型の間など隅々探したが…
「いない……な」
「うん……どこ行っちゃったんだろ……」

考えられることは2つ

外で隠れているか、

隠れながら移動しているか。

……おそらく後者

「とりあえずでるか……」
「うん…、寒いもんね…」

電気を消し部屋をでる


その時手に何か冷たさを感じた
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