Ｑ.草食系男子の捕獲方法を教えてください。

『ねぇっ、ねぇってば!!』

隣でクラス表を眺めている沙紀をつつく。


『なに？』

『あの人、誰？』

『あの人ってどの人？』

『あそこの背の高い、髪が茶色で長めの人』

沙紀は目を細めて背伸びをする。

『あぁ、一年の時、隣のクラスだった…えぇと、草…確か草野奏！』

『草野奏!!』


私はクラス表を１組から順番に見ていく。


『草野、草野…草…草…あった！…７組かぁ…』

めっちゃ離れてるじゃん…。


ガックリと肩を落とした私を見て、沙紀が目を丸くしながら叫んだ。

『また!?』

私は頬を膨らませる。

『また!?って何よ？』

『もう恋はしないんじゃなかったっけ？』

『仕方ないじゃない。恋はするものじゃなくて落ちるものだって、誰かが言ってたよ』

『誰よ？』

『知らない』


沙紀ははぁ、とため息をついた。
私たちは、人混みを抜けて、新しいクラスに向かう。

『幼馴染みだから言うけどね』

その途中で、沙紀が言った。

『璃子は熱しやすく冷めやすい。だから、今度はすぐにラブラブ光線を出すのはやめなさい。じゃないと、そのうち絶対に痛い目にあうよ』

『い…痛い目？』

てか、ラブラブ光線ってなによ？
私はへらへらと笑っていると、

『まじよ。相手がストーカーになっちゃうとか、力づくでってこともあるんだからね』


こ、怖いんですけど。


私はこくこくと頷いた。

『ちゃんと、どんな人か見てからにする』

沙紀は安心したように頷いた。