Q.草食系男子の捕獲方法を教えてください。
その日の帰りに、諒太と図書館に行った。

結局、あの後、さくらちゃんに振られた諒太が、『次は図書館にいるような子と付き合いたい』と言い出したからだ。

『いいね』
俺は言った。

なんとなく、図書館にいる子は美少女っぽい気がした。

それで、週に何回か気が向いた時に、図書館で勉強をするふりをして、美少女を探している。

美少女と同じ本を選ぼうとして、指が触れあうかもしれない…。
そう思って、全く興味のない、哲学の本を手にしてみたりした。

だか、当然、というかなんというか、美少女には出会えなかった。

『美少女いねぇな』
諒太がつまらなさそうに言った。

『いねぇな』

『そろそろ、やめるか』

『だな』



そう言って、立ち上がった時、朝に見た璃子、という子が図書館に入ってきた。

『待て』

俺は片手で諒太をとめる。
まるで野性動物を狩るマタギのようだった。


『なに?』

『黙れ、このまま勉強を続ける』



俺は、教科書の適当なページとノートを開くと、交互に見る振りをしながら、彼女をチラチラと観察した。

彼女はやっぱり前髪を気にしているようで、片手で押さえたまま、トコトコと本棚まで歩くと、なんと哲学の本を見ている。


俺はシャーペンを握ると、ノートに

“あそこで本読んでる子知ってる?”

と書く。

諒太が、チラリと本棚を見て、シャーペンを握る。


“2組の森下璃子”

さすがだ。

“グッジョブ”

俺たちは小さく頷いた。

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