Q.草食系男子の捕獲方法を教えてください。
それから、たびたび図書館で森下璃子を見かける。

一度は、美少女探しをやめよう、と思った俺たちだけど、森下璃子が来たことでテンションが上がって、また通いつめている。

『森下璃子って一年の時、何組?』

勉強をするふりをして、隣に座る諒太に聞いてみる。

『3組…だったかな』

『彼氏、いんのかな?』

『噂で聞いたけど、何人か告白したやつが全滅したらしい』

『全滅?』

『そ、全滅』

諒太は眉をさげて、悲惨な顔をしている。

『あ、でも、一年の初めに、なんとかって先輩とちょっとだけ付き合ってた、とか聞いたような』

『ふーん』



その彼氏が忘れられない…とか?

『…あ』

森下璃子が来た。

もう前髪が伸びたようで、片手で押さえてはいない。
あの仕草、かわいかったのにな。

森下璃子は本を返却したあと、今日も哲学の本が並ぶ棚の前で立ち止まると、しばらく本をパラパラとめくり、そのうちの一冊を借りて帰って行った。

森下璃子が帰ったあと、俺は彼女が立っていたあたりに立つ。
目の前の一冊を手に取ると、そのまま貸し出しカウンターに向かった。


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