俺様社長とスキャンダルキス~おまけ完~
長嶋の言葉には説得力があった。

…なぜなら、長嶋もまた、舞と似た境遇だったからだ。

長嶋は、長嶋エンタープライズの一人息子だった。

しかし、親の敷いたレールを歩く事だけは嫌だった。

親を尊敬してはいたが、親の敷いたレールを歩いていては、

自分の為にはならない。

そう思い、親の反対を押し切って、岡崎物産に面接に来た。

そこで、珍しく面接に顔を出していた英志の目に、長嶋が止まった。


『キミの心意気は気に入った。採用する。

俺の下で、勉強すればいい』

そう言ってくれた英志の下で、長嶋ががむしゃらに頑張った。

今では一人前の秘書になった。

秘書だけではない。色んな仕事をこなせるエリートになった。


・・・だから、舞の気持ちはよくわかった。

なぜ大高に、父親に、黙ってここを受けたのか。


「…舞は?」

社員証を見つめたまま、長嶋に問いかけた大高。


「…それが、一身上の都合で、辞表を」

「辞表?!」


「…それは、まだ受理してない」

「…社長」
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