俺様社長とスキャンダルキス~おまけ完~
「ありがとうございました」

舞は今にも泣き出しそうで、それを悟られないよう、

精一杯の声を出し英志に言った。


英志は花束を受け取り、長嶋の運転する車に乗り込んだ。

「社長、いかがなさいましたか?」

眉間にしわを寄せ、店を睨み見る英志を見て、

長嶋は問いかけた。


「あの店員、どこかで見た事ある気がする」

「・・・・メガネに、マスクじゃ、誰だかさっぱり分かりません」

長嶋も店員を見たが、あの姿では誰だかわかるはずもなく。



「綺麗な花束ですね」

「あぁ」

長嶋は話しを代えようとそう言った。

英志は、フッと微笑み、花束を見つめた。



「お母様の誕生日かぁ…きっと喜ぶでしょうね」

「花くらい送らないと、機嫌が悪くなるからな」

英志はぶっきらぼうに答えると、もう一度、店を見た。


…店員は、メガネもマスクも外していた。

・・・が。

走り出してしまった車からは、その顔を見る事は叶わなかった。

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