俺様社長とスキャンダルキス~おまけ完~
「・・・ったく、困ったバカ男だ」

英志はそう呟いて、また溜息をついた。

・・・英志の怒りはスーッと消えて行った。


これが長嶋らしい辞め方なのかもしれない。

舞に手を出したことはもちろん許しがたい事だが、

これでもう、長嶋は、会社の社員では、

社長秘書ではなくなった。


やっと狭い籠の中から、長嶋は外へ出たのかもしれない。


そう思うと、怒る事も忘れてしまった。



辞表を封筒にしまい、デスクの中にしまった英志は、

席を立つと、書斎を出て、リビングに向かった。


・・・そこには、声を殺して、

ソファーで体を丸くして、肩を震わせながら泣く舞の姿があった。



・・・あんなにも、舞を守ろうと決めたのに、

何一つしてやれていない自分がもどかしかった。


英志はそんな舞を後ろからそっと、包み込むように抱きしめた。


突然の事に、舞はビクッと肩を震わせた。
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