俺様社長とスキャンダルキス~おまけ完~
玄関を開けると、電気が点いている事に気が付いた。


英志は舞だと信じ、早足でリビングに向かった。


「…お帰りなさい」

「…舞、今までどこに行ってた?」

「・・・・」

英志の問いかけに、舞はただ笑って見せるだけ。

その笑顔がどこかぎこちない事は、英志にはすぐにわかった。



「舞、何があった?…話してくれないか?」

「・・・・」

何か言いたそうなのに、言えない舞は唇を噛みしめ、

俯いてしまった。


そんな舞を見た英志は、胸が痛かった。

1週間前までは、帰らなくなるまでは、

確かに短くなった二人の距離は、たった1週間の間に、

壁が出来たように離れていた。


それでも、英志は舞が帰ってきてくれた事が嬉しくて、

そっと、舞を抱きしめた。


「・・・わかった、言いたくないなら言わなくていい。

俺はただ、舞がこうやって帰ってきてくれただけで、

胸が一杯になるほど、嬉しいから」
< 83 / 277 >

この作品をシェア

pagetop