白い月~夜明け前のその空に~
*prologue*
*prologue*
幼い頃、近所の図書館の月一の行事で開催される、影絵の劇を観るのが二人の楽しみだった。
兄妹のいない二人は、本当の兄妹のように仲が良かった。
何度も足を通わせていたのに、ぼんやりとしか思い出せない劇の内容。
それでも、昨日のように思い出すことができるのはあの日のこと…。
ウサギとリスが並んで切り株の上に座って、月を眺めているという最後の場面。
その日の夜、二人はウサギとリスのように、並んで月を眺めた。
最後の場面と一緒に、月の色と隣でそっと見た横顔を、きっと一生忘れない…。
そう誓うほどに、彼女は強く思っていた。
< 1 / 465 >