白い月~夜明け前のその空に~
繋げない手…
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ある日曜日。
相園一家と優月は水族館へ出かけた。
陸のバイト先の社員からもらった優待券で。
みんなで揃って出かけるのも、この日が初めてでもあった。
誕生日も近い、瞬の水族館デビュー。
初めて見る海の生き物に、物怖じ一つせず、瞬は大はしゃぎだった。
イワシの大群や熱帯魚など様々な生き物を見てきたが、クラゲはよほど気に入ったのか、なかなか次のコーナーに移ろうとしなかった。
「瞬ちゃーん、あっちにね、ペンギンさんいるんだって。かわいいよー、見に行こうよ」
「ううー」
クラゲから興味を逸らせようと優月が試みるも、首をふるふる振って拒むだけだった。
水槽にぺたりと手をついて、ゆらゆら不規則に浮遊するクラゲ達を、瞬はじっと眺め続ける。