白い月~夜明け前のその空に~

肩の力が抜けたところでふと我に返る優月。


あることに気づく。





「あれ、ここどこ?」


館内マップを慌てて広げるも、根っからの方向音痴で、地図が読めない彼女には何の意味もなさないアイテム。



1時間以上経っているせいか、さすがに陸から携帯に着信が入る。



「ゆづ、迷子はどうした?」


「え、ああ、さっき無事お母さん見つかったよー。どうなるかと思ったよ」


「そっか、それはよかった。じゃ、もう戻ってこれるよな、瞬がイルカ見たいって」


「イルカ?イルカのショーあったもんね。えっと…どこだ?」


片手でくるくるマップを回す優月。


「……お前、まさか自分が迷子になってたりしないよな?」


「はあ?何言ってんのー?もちろん迷子になってるよ、あははは」


「あははって、何自慢げに言ってんだ!バカゆづ!」



陸の怒鳴り声が耳にキーンと響く。
< 118 / 465 >

この作品をシェア

pagetop