白い月~夜明け前のその空に~
陸は迷子になった彼女のことを面倒だとも思っていたし、正直イラついてもいた。
でも彼女の世話を焼くことは全然苦ではなく、幼い頃から当然のことのように思っていたため、怒りもすぐに消化していた。
優月は彼を怒らせてしまったと、すっかり後悔していたが。
ほとんど無意識に繋いでいた手。
どうして手の感触に鼓動が激しくなるのか、陸はその訳を見つけようとしなかった。
都合が良いようにできてる、むしろそうしてきた心。
訳を知ってもどうせすぐに忘れる、そう信じていた。