白い月~夜明け前のその空に~
戸惑いの熱…
休み時間、長澤は優月の隣の席にやってきて、またくだらない話を勝手に始めたり、ノートに変な絵を書いて見せたりと、極力彼女と一緒に過ごし、積極的に彼氏を演じている。
それが本当の演技か素なのか、いまいち紛らわしいが。
彼が優月にちょっかいだすことはこれまで度々あったことから、実は“付き合っている”という雰囲気はそう簡単には伝わらなかった。
そんなことを踏まえ、早く学校が終わった日、学校に一番近い後藤の家で、里乃カップル交えて今後の作戦を練った。
「でも、長澤らしいっちゃらしいアイディアだよね。付き合うふりなんてさ」
里乃はまじまじと優月と長澤を見つめた。
「な、お前しか考えつかねーって」
後藤と里乃は、二人してにやにやした。