白い月~夜明け前のその空に~
「ゆづ、ちょっといいか?」
優月の部屋のドアをノックする。
「うん、いいよ」
陸が部屋に入ってきて、何か言う前に彼の持っていたハンカチを見て優月はギョっとした。
「これ、俺の洗濯物の中に混じってたんだけど…、もしかしてお前のか?」
「えっ…」
口ごもる優月だが、変に誤魔化せばややこしいことになると思い、観念して正直に話した。
「…彼氏から借りたの。指切ったときに」
きょとんと目が点になる陸。でもすぐに納得した顔になった。
「ああ、そうか、なるほどな。ゆづが持ってる訳ないもんな。…それじゃ、治りも早いな」
「え、治ってはきたけど…それは」
「そっか、ゆづについに彼氏か。よかったなぁ。俺はすぐできると思ってたけどな」
「はは、絶対嘘でしょそれ」
話の流れにただ似合う言葉を乗せる優月。