白い月~夜明け前のその空に~





部屋で優月が泣いているなんて知らない陸は、何の躊躇いもなく『彼氏の…』と言った彼女の言葉が、信じられず動揺していた。


冷静に返していたものの、本当はかなり驚いていた。




真っ先に手当てした存在が彼氏だと言うことに、何だか居心地が悪くなる自分がいる。


おまけにそんな彼氏がいる優月に、『魔法の絆創膏』だなんて言ってしまったことを、バカバカしく思った。



(あんなこと…、言うんじゃなかったな)





優月と陸は違う後悔をそれぞれ抱き、そしてそのことは決して見せなかった。








―――。.*゜――。.*゜―――


「長澤、この間のハンカチ…、ありがとう。で、その…、洗ったんだけど落ち切れなくて…、そのままって訳にいかないから、代わりに新しいハンカチ買ったんだけど…」



下校中、優月は長澤にラッピング用に丁寧に包装されたハンカチを渡した。


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