白い月~夜明け前のその空に~
「そんな、気遣わなくていいのに」
「すぐ保健室連れていってくれたお礼も、あるし」
「そか。ね、開けて見ていい?」
「うん」
目をキラキラさせ、長澤はクリスマスプレゼントにはしゃぐ子供のよう。
「おおー。いいじゃん、使いやすい色だし。佐野センスあるな!ありがとう」
一気に幼さを滲ませる満面の笑みは、お世辞など全く感じさせなかった。
そんな素直に喜んでくれた彼に、優月も素直に嬉しく思った。
現に男の人にプレゼントをするなんてことを、今までしたことがなかったため、店を5店舗回って吟味して決めたのだ。
「なぁ、思ったんだけど。苗字で呼ぶのやめない?怪しまれないためにもさ」
「それも、そうだね。うん。そうしよう、えっと…、光?」
そう優月が下の名前で呼ぶと、彼はハッとした顔をする。