白い月~夜明け前のその空に~
「…へ、へへへ。やべ、何か改めて言われると、すげー照れる」
(えっ…、照れるって)
長澤は手で口元を押さえ視線を逸らし、そわそわと落ち着かない様子。
普段の彼なら、こんなことさらりと流すはずだと思っていた優月は、予想外の反応にどぎまぎした。
この間の保健室でのことは、単なる気の迷いだと思い、次の日は普通の態度に切り替えた。
彼も同じように保健室のことは触れてこなかったこともあり、それでいいものだと思っていた。
でも、そんなあからさまな反応をされては、どうしていいか分からなくなる。
また気の迷いのせいなど、できなくなってしまう。
「うう…、自分から言い出したくせに、バカだな。俺」
なかなか顔を合わせようとしない長澤。
「いやいや、そんな照れなくても…。どうせ、ふりなんだし」
この間のような雰囲気にさせないように、優月は必死に空気を変える。