白い月~夜明け前のその空に~
「本当です…」
堂々と嘘をつくことは、さすがに良心が痛む。
でも今はそうするしかなかったのだ。
妬まれ、嫌がらせされることになったとしても。
あのシナリオが完結するまでは。
後少しの辛抱だ。
「ゆづ!どこ行ってたの?って………その髪、何、何があった?」
昼休みから呼び出され、そのまま2年の女子に拘束されていた優月が解放されたのは、帰りのショートホームルーム前だった。
彼女に駆け寄った里乃は瞬く間に血相を変え、優月の肩を揺さぶる。
あまりにも様変わりした優月の風貌に、クラスメイトも凝視したほど。
肩にようやくつき始めていた髪は、ぶつ切りのショートカットになり、なにより一番に目立っていたのは、髪が金髪に染められていたことだ。
制服のスカートも、かなり短くなっている。
「…先輩達でしょ?そうだよね?」