白い月~夜明け前のその空に~


放心状態の優月は、うなづくこともできなかった。


「何がしたい訳、あの人達。いくらムカつくからって…こんなことっ」


怒りを露わにした里乃は、ダンッと床を足で強く踏みつけた。


「…イメチェンだって。地味だからこっちの方がいいって言われて、ウケルよね」


優月はネジをどこかに落としたように、自分でも訳が分からず笑っていた。


「ゆづ…?、おかしいよ?ダメだよ、こんなこと許しちゃ!長澤!」




優月が戻ってきた姿に、言葉を失くしていた彼は、里乃に摘まみだされる。



「あんたのせいだからね!あんたがいつもどっちつかずないい加減な態度してるせいで、デカイ反感買うことだってあるんだからね!どうすんの?」


長澤の胸倉を掴み、里乃はまくし立てる。





里乃の怒鳴り声で、頭から氷水を浴びたように目が覚め、優月も長澤もとんでもないことになってしまったことを思い知る。






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